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リード
「小児矯正は歯並びを整えるだけではなく、
お子さまの健やかな成長をサポートするものです。」
と語る畑﨑歯科医院の畑﨑院長。矯正治療に対する独自の哲学と、お子さまの将来を見据えた治療についてお話を伺いました。
小児矯正への思い

小児矯正を始められた経緯は?
勤務医時代は街中の医院が多く、大人の矯正を少し勉強していました。父の診療所に戻ったとき、住宅街ということもあり、当時の患者さまは高齢の方が多かったです。学校健診で歯並びのチェックを依頼されることが増え「子供たちを大切にしていかないと未来が見えない」と感じるようになりました。そんな中、同級生であり、日本小児矯正研究会(旧:日本床矯正研究会)の会長を務めていた花田真也先生との出会いがありました。先生に導かれるように小児矯正の道へと足を踏み入れることになりました。最初は正直、少し疑いの気持ちもありました。ところが、初めて参加したセミナーの冒頭30分で「これは本当にすごい」と強く感じ、一気に引き込まれていきました。
原因から治す矯正治療

先生の矯正治療の特徴を教えてください
私たちの矯正治療は「どう直すか」ではなく、「なぜこういう歯並びになっているのか」という原因から考えます。原因を解決しなければ、同じ歯を動かしても後戻りしてしまうからです。
例えば指しゃぶりをしていれば出っ歯になりやすいですし、頬杖をついていたり口呼吸をしていたりすると受け口になりやすくなります。小さなお子さまの受け口は、舌の位置が悪いことが原因であることも多く、舌を上に持ち上げる練習だけで改善することもあります。
床矯正研究会で感銘を受けた、
「本来の治療は原因を治すことであり、
装置を使うのは補助に過ぎない」
という考え方は、歯周病治療と同じです。歯石を取るだけでなく歯磨き指導が重要なのと同じで、矯正治療でも原因へのアプローチを大切にしています。
年齢による治療の違い

どのくらいの年齢から矯正治療を始めるのが理想ですか?
6〜7歳頃が理想的です。下の前歯が4本、上の前歯が2本、6歳臼歯という永久歯が上下4本生えてきた時点で判断します。この時期は顎の成長が80%ほど完成しており、比較的シンプルな床矯正装置で対応できる可能性が高いです。
5〜6年生くらいの思春期前になると自分で気にし始める子もいますが、親に連れてこられた場合はなかなか進まないこともあります。高校生では自分の意思で取り組むため頑張れる子が多いですが、年齢が上がるほど改善は難しくなります。
矯正を始めるのに「早すぎる」ということはありません。治療が必要でなくても、舌のトレーニングなど年齢に応じた機能訓練を取り入れることができます。
矯正治療の流れと装置

実際の治療ではどのような装置を使用されるのですか?
小さなお子さまには取り外し可能な床矯正装置を使用します。ネジを週2回ほど調整して顎を徐々に広げ、次に歯を整える装置へ移行します。
中学生以上になると、インビザラインなどのマウスピース型矯正装置も選択肢に加わります。装着感が少なく見た目も目立たないため、思春期以降は希望する子が増えています。理想的には、床矯正で顎を広げた後にインビザラインで歯を整える流れです。
年齢や生活スタイルに合わせて、それぞれに最適なプランをご提案しています。
生活習慣と歯並び

歯並びと日常生活には関係があるのでしょうか?
とても大きな関係があります。口呼吸、舌の位置、食べ方など、日常の癖が歯並びに直結します。昔は「前歯で噛みなさい」「口を閉じなさい」とおじいちゃんやおばあちゃんが言っていましたよね。今は柔らかい食べ物が多く、細かく切られた食事が増えているため、しっかり噛む機会が減っています。
集中すると口が開いたり、舌が前に出たりする癖も歯並びに影響します。そのため矯正装置だけでなく、機能的なトレーニングも大切にしています。「ポカンX」という器具を使った口を閉じる練習や、正しい食べ方の指導もおこなっています。
長期的な視点での治療

矯正治療はどのくらいの期間続くものなのでしょうか?
成長とともに進めていくので長いお付き合いになります。大人になってから歯を抜いて矯正すれば2〜3年で済むかもしれませんが、子どもの本来の成長を手助けする形での矯正は時間がかかります。だいたい12〜13歳くらいまで、第二大臼歯がしっかり生えるまでを目安にしています。
最初に「長いお付き合いになりますよ」と伝えることで、途中で来なくなるということも減りました。
大切なのは「装置を外したら終わり」ではなく、
戻らない環境をつくることです。
単に歯並びを整えるだけでなく、骨格の機能や舌の位置、口の閉じ方など総合的に改善していくことを目標にしています。
患者さまとのコミュニケーション

保護者の反応はいかがですか?
最初は「いつまでかかるのか」「いくらかかるのか」「何を入れるのか」といった質問が多いです。それも大切なことですが、まずは30分〜1時間かけて、お子さまの口腔状態がなぜこうなったのかをしっかりと説明します。原因を理解していただくことで、治療への納得感も深まります。
装置の管理については、「今身につけているもので一番高価なもの」と伝え、お子さまが責任を持って扱えるよう指導しています。お母さまと一緒にケアしていくことで、家族全体での意識も高まります。
お子さまの成長に合わせた治療

お子さまごとに治療方法が違うのですね
はい、その子の成長に合わせた治療を心がけています。矯正治療は「何歳になったらこれをしなさい」という画一的なものではなく、お子さまの発育状態や生活習慣、癖などを総合的に判断して進めていきます。
トレーニングも全部やるのではなく、その子に足りないものを選んでご提案します。お母さまと一緒に取り組むことが大切です。親御さま自身の習慣や姿勢もお子さまに影響するため、親子で一緒に取り組むことを重視しています。無理なく生活に取り入れられる方法を第一に考えています。
小児矯正の今後についてはどのようにお考えですか?
「小児矯正が文化になる」ということです。矯正器具を使ってみんなで矯正するというより、小さいころから歯医者さんに通い、適切なトレーニングを頑張ることで、必要であっても最小限の矯正で済むような社会になればと思います。
日本小児矯正研究会(旧:日本床矯正研究会)の考え方は、装置の種類よりも「原因から治す」という哲学を大切にしています。床矯正でもインビザライン(マウスピース矯正)でもワイヤー矯正でも、根本的な考え方は変わりません。まずはそうなった原因をしっかりと探り、その子に合った最適な方法をご提案し、長期的な視点で健やかな成長をサポートしていきたいと考えています。
矯正治療へのメッセージ

矯正治療を考えている方へのメッセージをお願いします。
気になったらお気軽にご相談ください。
「これしかない」という決めつけではなく、さまざま方法をご提案します。まずはなぜそういう歯並びになったのか、原因から丁寧に説明し、治療の道筋をしっかりご案内します。
矯正器具を使うだけでなく、早期からのトレーニングで必要最小限の治療を目指しましょう。その子に足りないトレーニングを見極めて、お子さまとご家族が一緒に取り組めるよう、成長に合わせた最適なサポートをおこないます。お子さまとお母さまが一緒に、生活の中でできることから始めていきましょう。